四二八月五日 —— 四日目四回目『劇的な葬儀』寄稿

    おんがくのじかんで催される、バーでの演劇ショーケース『劇的』

その第二弾の「劇的な葬儀」を、6つの個性豊かな劇団とお届けします☆彡

【公演詳細】
バーでのショーケース公演「劇的」vol.02 『劇的な葬儀』
2023年3月23日(木)ー26日(日)
@東京都 三鷹 おんがくのじかん


みなさん、はじめまして。広報宣伝大使のユイちんですっ
今回からは、インタビュー企画に続いて"団体からの寄稿"をご紹介していきます💖⭐️✨🔥
第3回目の寄稿は四回目四回目さんからお寄せいただきました(^^)/

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四二八月五日 

渋谷駅、好きなケーキ屋を目指して歩いている時、気付くと、正面に大きな太陽があった。
あたりは暗くて、太陽だけが信じ難いほどに赤く光っていた。
月だったのかもしれない。
しかし私にとって途方もなく大きな存在であるという私にとって大事な点において私にとって月と太陽は私にとって同等だ。
私は私が大切なもの以外は大切にできていないのではないか、と思いながら、太陽か月かに背を向けるようにケーキ屋へ潜り込んだ。
ケーキ屋には太陽も月もなかったが、良い香りのケーキが沢山あって、その方が私には喜ばしかった。
ケーキはその晩食べたらなくなったが、翌日も明るくなったので、太陽はまた登ったらしい。

渋谷駅前には、美味しいケーキ屋も知っているが、ねずみの巣も知っている。
スクランブル交差点の近くのとある木の下には数十匹のねずみが住んでおり、よく鳴いているのだが、気に留めている人はあまり見た事がない。
渋谷の木の下には服も音楽もアルコールもないに決まっているからだろうか。
そこへ渋谷へ行く度に向かう、なんてことはしない。
ただし、私には渋谷に住んでいる友がいる。

思えば、私はデグーマウスという美しいねずみ(名前はぴぴ様。気高いので、姫、と呼んでいる。)と暮らしているからかねずみの動きに見慣れているようで、街中でねずみに気付くことが多い。
家の近くの茂みに姫によく似た色のねずみが住んでいることも知っている。
その子を見かけた日は、帰って、姫、お散歩してきたの?と聞いてみる。
好物のひまわりの種を沢山あげたくなる。
私はその日はお菓子はやめておく。

いつも何かを求めて地面を見ている私だが、最近、月をよく見上げるようになった。
本当に毎日少しずつ満ちたり欠けたりするんだ、と知った。
すごいのは、欠けても、後日、満ちること。

この前、月とよく似たメロンパンを食べた。
コンビニの前で悴む手と鈍い顎でメロンパンを齧りきるまで私を月は見届けてくれたが、メロンパンは私が食べたらなくなってしまった。
私が消してしまったメロンパンの実体を思ってもあまり悲しくなかった。
買ってすぐのメロンパンだったからだろうか。
もう少し長くメロンパンと過ごしてみようか。

メロンパンの糖質と脂質がいい感じであることに気付いて、よく食べるようになった。
見たらいつかなくなってしまう上演作品は月じゃなくてメロンパンですね、なんて無粋なことも書けてしまう。
そんなことを考えながら世界の理想を思う、自分の小ささに気付きたくない。

いつかのために、と言う言葉が嫌いだった。
それはいつ?今しか大事じゃないのに。
いつまでもきてくれない近未来、あなたもです。

それでもいつかを願ってしまう。
ねずみたちの健やかな明日を、雲を捏ねて生きる私たちの未来を。


四日目四回目 旦妃奈乃 

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◎作品情報◎
四日目四回目「あいう」

~構成・演出~
旦妃奈乃(四日目四回目)

~出演者~
井澤佳奈
越石裕貴
旦妃奈乃

~参加チーム・タイムテーブル~
βチーム
2023年3月
 24日(金)19:00
 25日(土)15:00 
 26日(日)19:00※
※終演後にアフタートーク有(約20分予定)

受付・開場は開演の20分前。
上演時間は約90分予定(1団体につき約20分の上演+OP演奏15分)。

※明日はザジ・ズーからの寄稿です。
 過去の記事はコチラよりご高覧いただけます。

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