『【演劇を作る】方法について』—— コップクラフト『劇的な葬儀』寄稿

おんがくのじかんで催される、バーでの演劇ショーケース『劇的』

その第二弾の「劇的な葬儀」を、6つの個性豊かな劇団とお届けします☆彡

【公演詳細】
バーでのショーケース公演「劇的」vol.02 『劇的な葬儀』
2023年3月23日(木)ー26日(日)
@東京都 三鷹 おんがくのじかん


みなさん、はじめまして。広報宣伝大使のユイちんですっ
今回からは、インタビュー企画に続いて"団体からの寄稿"をご紹介していきます💖⭐️✨🔥
第2回目の寄稿はコップクラフトさんからお寄せいただきました(^^)/

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こんにちは。コップクラフトの山本悠です。

今日は演劇公演の作り方について話をします。何故?僕は演劇に限らず観客を呼ぶような企画をもっと沢山の人が気軽にできるようになって欲しいと思っているためです。

演劇公演のみならず、何か企画を作って具体化するというのは中々大変なものです。特に計画するというのが大変です。何から手を付けていいのか、何を具体化したらいいのか。実情として多くの場合、特別に大規模なもの・商業的になったものを除けばイベント企画は全体像が見える化している場合が少ないです。現実に実施している人も、企画が進むにつれて次々とタスクが現れ、目の前のに出現したタスクを必死にこなしているといつの間にか本番が来る、という場合の方が多いでしょう。

まあ全部具体化するとキリが無いので今日書く内容としてはだいたい演劇公演作りの土台となる、『企画立て・計画』部分になります。

1.企画立て

2.公演計画

3.本番準備

こういう事を色んな人が言葉にしていく事で、イベント企画、演劇公演企画そのものがイメージしやすく、具体化されやすい状況が作られる事を望みます。色々考えたり鼻で笑ったり、まあ色んな意味で面白い内容だとは思うので、是非見てみてください。


 1.企画立て

 まずは企画立てです。いわゆる公演イメージを作っていくターンですね。

 一番初めにするべきことは、妄想を広げる事です。作品作りに直ちにつながらなくても大丈夫です。こんな作品が面白かった、こういう経験をした、こういう事を面白いと思う……自分の内側にあるものを広げて、それを使ってこんな作品をやりたい、を作っていきます。

 この時大切なのは、出来るだけ広く妄想を広げた上で、中心となる芯を建てていく事です。大仰なものでなくてもかまいません。具体化できてなくてもかまいません。作品作りを最後までやり遂げられるだけの、ワクワクする芯を作ってください。

 一つの基準ですが、言葉にした時短く一行にまとまる内容だと芯としては弱い事が多いです。例えば以下のようなものです。

『面白い作品を作る』

『沢山の人が見に来る作品を作る』

 これは概念として曖昧過ぎる(ほぼ一般論)ので、企画の芯が立っているとは言えません。

 例えば(あくまで例えばですが)このぐらい言葉になっていると、やや芯として強くなってきます。

『セックスという行為によって変わる事、変わらない事、お互いに言えない事とそれを言おうとする事、関係性に踏み込む事について描く。』

 何だこの内容、という感じですが、ちょっと過去作から分かりやすいものを取って来ました。

ちなみにこのイメージ作り、おすすめはこの段階で共感してくれそうな他人を巻き込む事です。アイデア出しも具体化も、他人を巻き込めばより多彩になります。その後の工程も他人を巻き込んでいると楽になります。この段階で、2番目の工程の要素もだいぶ出てくると思います。


2.公演計画(企画立てその2)

芯が立ってきたかなあと思ったら、企画を具体化していきます。その内容については、企画書等を文字や絵で起こしていきます。

 こうした企画イメージを文字や絵で起こす必要があるのは、そうする事でその企画の芯となる面白さを他人に伝えやすくなるためです。世の中の企画の多くは、一定の規模を超えると一人では行えません。

例えば以下の要素でまとめます。

① 公演内容

② 公演テーマ

③ 観客属性

④ 公演場所・公演規模

⑤ スタッフ規模

以下に例を示します。

『[1]ラブホテルでセックスをした後の二人の男女が話をする物語。二人は二十代後半で、小学生の頃からの友人だが、今まで恋人になった事も、行為に及んだ事も無かった。セックスがきっかけとなり、二人はお互いに今まで言えなかった事を話し始める。

 [2]セックスという行為によって変わる事、変わらない事、お互いに言えない事とそれを言おうとする事、関係性に踏み込む事について描く。

 [3]観客としては10代から20代までの、性について多感な人を中心として想定する。そうした観客が、性について個々に主観を持っているだけではなく、お互いに自分の感覚について他人と話してみたいと思う様な状態を作りたい。

[4]1公演観客30人規模程度の小劇場での公演を予定。

[5]役者:4名想定。スタッフ:当日運営を除き10名程度』


はい、こんな感じですね。

この①公演内容とか②公演テーマはまあそのままですが、③の観客属性が見慣れない人も多いのではないかなと思います。演劇公演を打つ人は、『良いものを作って、沢山の人に見に来てもらいたい!』という曖昧なイメージで観客を呼ぶことが多いです。その結果として、『演劇をよく見ている人』で、『役者・演出家と同世代』の人が来る、というパターンが多いです。

駄目です。そういう事をしていると、観客が身内で固まります。これは広報の方法の問題ではなく想定する観客のイメージが曖昧だからです。

作品内容・テーマがなんとなく固まった段階で、『呼びたい観客』『呼びやすい観客』にはぜひイメージをつけてください。そして、その観客を『どんな状態にしたいのか』を考えてください。これがその後の広報計画などにも繋がります。

他にも、タイトルが決まっていればタイトルも記載してください。色々な考え方がありますが、できれば是非『どんな観客が面白いと思うのか』を意識して名前をつけてください。


 3.本番準備

 さて、企画書も具体化した所で、本番までの流れをスーパーざっくり示します。

① 本番までのざっくりとしたスケジュールを引く

② 目標観客動員数とチケット料金を決める(総合予算が決まる)

③ ざっくりとした部門ごとの予算を決める

④ 劇場やスタッフなど、決まっていなかった要素の候補を選定し、声をかけて決定する。

⑤ スタッフが決まったら、部門ごとにスケジュールと予算案を具体化してもらう

⑥ 実施する。実施状況を共有する


まあ当たり前の事を書いているわけですが、大切なのはスケジュールと予算、実施状況が具体化して一目で分かる事です。とにかく全部『文字化・見える化』してください。そうする事でその後の作業管理がかなり楽になります。

それから、スタッフは集まったら何となく部門を決め、部門の責任者を決めてください。部門内の情報は全てその責任者が吸い上げます。そうすれば、責任者が集まれば全ての話をできるというわけです。

 

 だいたいここまで書かれている事をちゃんと実施すれば、企画は具体化して動き出します。後は公演をやるだけです……とはならないぐらい必ず問題が発生するものですが、その辺のノウハウはまた部門や時期ごとに色々あります。

 まあなんか、企画考えてるけど困ってる、とか、ちょっと知恵貸してよ、とかあったら、気軽に僕にも声をかけてください。やりたい事の邪魔をしない様にちゃんと話を聞きますし、出来る範囲で手と知恵を貸させてもらいます。


 皆さんも是非、『こんな風に企画立てすればいいんだよ!』という事があれば、それぞれ言葉にして発信してください。そうする事で全体の風通しが良くなりますし、周り回って自分の力になる人も増えるはずです


 それではこんなところで、コップクラフト公演、『場の精霊からの手紙』をお楽しみに……宣伝になってないか?

 この場所でこんな事を書く人がどんな作品を作るのか、気になりませんか?

 是非劇場でお会いしましょう。


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◎作品情報◎

コップクラフト「場の精霊からの手紙」

~演出~
湯川拓哉(コップクラフト)

~脚本~
山本悠(コップクラフト)

~出演者~
金子満咲
湯川拓哉

~歌詞制作~
緒方壮哉

~参加チーム・タイムテーブル~
αチーム
2023年3月
 23日(木)19:00
 25日(土)19:00 
 26日(日)15:00※
※終演後にアフタートーク有(約20分予定)

受付・開場は開演の20分前。
上演時間は約90分予定(1団体につき約20分の上演+OP演奏15分)。

※明日は四日目四回目からの寄稿です。
 過去の記事はコチラよりご高覧いただけます。

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